PFASってなに?フッ素は有害?
住宅用塗料は大丈夫?

PFASってなに?フッ素は有害?住宅用塗料は大丈夫?

昨今、ニュースなどで「PFAS(ピーファス)」という言葉を耳にした方も多いかと思います。

どうやらよくないものらしいけど、そもそもPFASっていったい何者なの?どんな悪い点があるの?PFOS、PFOAとの違いは?

こういった疑問に関して、喧伝される先入観から誤った認識をしている方も少なくありません。
ここでは、PFASおよびフッ素の有害性に関して詳しく解説します。

PFASとは

最近になってニュースなどでよく見るPFASという言葉の意味はなんでしょうか?
有機フッ素化合物のことをPFASと呼びます。
有機フッ素化合物自体は14730種以上の種類が存在します。
そのすべてをひとくくりにして「PFAS」と呼んでいるのです。

この時点で「もしかしていろんな特性をもっているPFASがある?」と考えた方は鋭いですね。
その通り、PFASの中にも様々な異なる特性を持った有機フッ素化合物が含まれています。

ポイント!  PFASとは

PFASは有機フッ素化合物の総称。
PFASは14,730種以上あり、様々な特性を持つ。

フッ素はすべて有害なのか

多くのメディアでは「PFAS=有害」と取れるような見出しが目立っています。
しかしそれらの見出しはより多くの読者の目を引くためのものであり、「PFAS=有害」といった認識は誤りです。

実際、PFASには人体や環境に有害であると認められるもの2種類あります。
2024年3月現在、日本国内で有害指定されている有機フッ素化合物は「PFOS」と「PFOA」のふたつです。
その他にも「PFHxS」というフッ素が有害であるとして現在対応を検討されています。
数あるPFASのうち有害指定されているのは極々一部であり、PFAS(フッ素樹脂全体)自体を悪者扱いをするのは誤った認識です。
その他のPFASに関しては、一部安全性について調査・審議中のものが数種類あります。

PFASの中には日用品や医薬品に使用されているものもありますが、それらは安全性確認が行われているものがほとんどですので過剰反応する必要はありません。

ポイント!  有害なPFASの割合は低い

有害指定されているPFASは2種/約14,730種。
全体のごく一部であり、「PFOS」「PFOA」以外は有害指定されていない。
ただし、その他にも安全性について調査・審議中のものが数種類ある。

tips! 医療でも活躍するフッ素

フッ素は医療現場でも活躍しています。
歯科領域では虫歯を予防するとして、歯磨き粉をはじめガムなどにも配合されています。
歯の美しさに敏感な欧米では上記に加え、粉ミルクや塩、サプリメントなど様々なフッ素入り商品が取り扱われています。
歯科領域以外でも人工心臓や人工透析装置などに使用されるなど、様々な医薬品・医療器具に使用されています。

有害なフッ素樹脂「PFOS」「PFOA」「PFHxS」

PFASのなかでも「PFOS」「PFOA」「PFHxS」は有害指定されていると前述しました。
PFOSとPFOAは環境および人体に有害であるとして世界各国で規制されています。

PFOSはもともと、金属用メッキや塗料、殺虫剤、消火剤などに広く使われていたものでした。
2005年にストックホルム条約議定書の有害汚染対象物質とされたことをきっかけに広く規制されることとなりました。
日本でも2010年に化学物質審査規制法が改正されたことにより製造及び輸入が許可制となり、事実上PFOSの国内での取り扱いはほぼなくなりました。

次いでPFOAも日本国内では2021年に化学物質審査規定法の規制対象となり、PFOS同様に取り扱いがほぼなくなりました。

PFHxSに関しては現在規制に向けて取り扱いを検討中です。(ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)について/環境省)(外部サイト

フッ素塗料は大丈夫?

弊社でお取り扱いしているフッ素塗料「ルミステージ」に配合されているフッ素「ルミフロン」の開発元ACGからはPFASに関する案内が発表されています。
そこには下記のように記載があります。

AGCは、「特定PFAS」3種のうち、過去にPFOSやPFHxSについては製造を行っておらず、残るPFOAの製造・販売は条約や国内の法令による規制に先立ち、2015年に終了しています。
(「PFAS」とは?種類と用途、規制などについて | AGC)(外部サイト

つまりルミフロンは有害なPFASには該当せず、ルミステージには「PFOS」「PFOA」「PFHxS」といった有害指定されているフッ素樹脂は使用されていません。

塗料は有機溶剤を使用することがあるので、環境に対して悪役にされがちです。
こうした背景に苦慮している塗料メーカーは多く、だからこそ環境配慮にたいして人一番敏感です。
会社として積極的に環境へ配慮していく姿勢を多くの塗料メーカーが持っていますので、より安全で環境にやさしい塗料が開発されています。

まとめ

PFASについて詳しく解説しました。
PFASには様々な種類があり、それぞれ異なった特性があります。
その中でも有害なものがごくごく一部存在します。
しかし、有害だと判明しているものは国内では規制の対象となっています。
PFASには有害なものも無害なものもあります。ひとくくりにして悪者扱いするのは早計と言えます。
フッ素樹脂は一部の塗料にも使用されています。
弊社でお取り扱いのあるルミステージには有害なPFASは使用されていません。

PFASについてはまだまだ調査・検討するべき社会課題がたくさんあります。
わたしたちも、今後の動向を含め最新情報に注目しましょう。