サイディングの基礎知識
種類は?塗り替え不要って本当?

サイディングの塗り替え

サイディングは、現在の戸建て住宅のおよそ7割に使用されていると言われる外壁材です。
外壁材の中では最も普及しており、そのメンテナンスにお悩みの方も多くいらっしゃいます。
このページでは、サイディングに関する基礎知識をお伝えします。
サイディングの基礎知識を身に着け、塗り替えの際にお役立てください。

外壁材のサイディングとは?

外壁材のサイディングとは?

外壁材のサイディングは、現在国内の戸建て住宅の約70%に使用されています。
新築住宅では80%以上といわれており、その普及度は断トツのトップです。

サイディングボードはあらかじめ工場で生産されているものを使用します。
工場で大量に生産するためコストが安く、施工も容易で工事が手早く進められます。
あらかじめ模様が印刷されており、デザインやカラーも豊富です。
デザインによって様々な風合いに仕上げることができるのも、人気の理由のひとつでしょう。

サイディングの外壁は、サイディングボードを貼り付けることで施工します。
モルタルなどの外壁材を塗りつける工法よりもはるかに簡単で早く仕上がります。
乾燥や硬化を待つのもシーリング部分のみでいいので、工事中のわずらわしさも少なく済みます。

サイディングの種類

サイディングにはいくつか種類があります。
ここではサイディングの素材別に大きく分けて4つに分類し、解説します。
素材によって耐用年数や特徴などが異なりますので、ご自宅のサイディングの性質を押さえておきましょう。

窯業系サイディング

耐用年数:10~12年
主な素材:セメント・繊維質原料など


サイディングの中でも最も多く使用されているのが窯業系サイディングです。
窯業系サイディングは、セメントに繊維質原料を混ぜて形成したものです。
製造過程で窯の中に入れるので「窯業系」と呼ばれています。
大量生産が可能なためコストが安く、耐火性・耐震性に優れていることから日本の建築では広く使われています。

窯業系サイディングの建物は10年程度ごとに塗装によるメンテナンスが必要です。
窯業系サイディング自体には防水能力がなく、水を吸いやすい性質があります。
防水機能を持たせるために表面に塗装を施してありますが、経年や紫外線の影響により塗膜が劣化します。
メンテナンスを行わずに放置すると吸湿などの影響によるカビ・ひび割れ・剥がれなどのトラブルが発生するおそれがあります。

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窯業系サイディングのメンテナンス
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金属系サイディング

耐用年数:15~20年
主な素材:ガルバリウム鋼板など


金属系サイディングはその名の通り金属質の素材を使用したサイディングです。
かつてはアルミやスチールなどの材質が用いられていましたが、現在ではガルバリウム鋼板が最も人気です。
素材となっている金属によって耐久性・耐用年数・性質が大きく異なるのも金属系サイディングの特徴です。

防音性・断熱性・防水性に優れている反面、窯業系サイディングに比べて高価です。
初期費用は高くなりますが、それを補うメリットが多くあります。
金属製サイディングには断熱材が使用されているので、外気温が室内に伝わるのを防いでくれます。
また、断熱材には音を吸収する効果もあるので外への音漏れや気になる雨音が低減されるといった効果もあります。

デザインはシンプルなものが多く、スタイリッシュに仕上がります。

金属製サイディングは他の材質に比べて破損に強い特徴を持ちますが、一度傷ついてしまうとそこから錆びが発生します。
錆びを防止するためにも塗り替えなどによる定期的なメンテナンスをおすすめします。

木質系サイディング

耐用年数:4~10年
主な素材:木材


木質系サイディングは木材を主原料としているサイディングです。
天然の木材を使用した、ナチュラルで高級感のあるデザインが人気です。
デザインは主に木の質感で選ぶことになります。

木材を使用しているといっても、木材の表面に劣化や腐食・虫害を防いだりする加工を施したものを使用します。

一方で価格が高く、耐久性が低いという欠点もあります。
木材は湿気を帯びやすいので、メンテナンスしないまま放っておくと割れたり剥がれたりする恐れがあります。
また、腐食したりカビが生えてしまう場合もあります。
こまめなメンテナンスが必要になりますので、5年おきに専門業者による点検を受けましょう。

樹脂系サイディング

耐用年数:15~20年
主な素材:塩化ビニル樹脂など


樹脂系サイディングはまだ日本では少数派で、あまり普及していません。
耐久性が高く、低温による凍結にも強いので寒冷地帯におすすめです。
海外では非常に普及度の高い地域がありますが、現在の日本では全体のシェア1%とあまり見受けることができません。
樹脂系サイディングの生産や施工を担う業者が不足しているのが背景にあると言われています。

樹脂系サイディングは30年ほどはメンテナンスが不要と言われています。
ただし、材質によっては紫外線により劣化してしまう場合がありますので、
そのような場合には塗装によるメンテナンスが必要です。

サイディング壁に不可欠な「シーリング(コーキング)」の役割

サイディングボード同士の隙間はシーリング材(コーキング材)で埋める必要があります。
この隙間の部分をシーリング(コーキング)と呼びます。
シーリングはただの隙間ではなく、外壁に対して重要な役割を持っています。

外壁は常にすこしずつ動いています。
サイディングボードは熱や湿気により膨らんだり縮んだりしますし、外を通る自動車の振動や地震・強風などで揺れたりと外壁の動きには様々な要因があります。
この動きの力をうまく逃すことができないと、硬い外壁は割れてしまうのです。
シーリング(コーキング)は建物の動きの力を逃すために必要な部分です。

シーリング部分はわざと1cm~1.5cm程度(建物によります)の隙間を開けてあります。
その部分をそのままにしておくと雨水などが浸入してしまいます。
しかし外壁の動きに合わせて動くようにしておかないと隙間を開けた意味がありません。
そこで、シーリング材はシリコンなどの柔らかく伸びる材料を使用します。
やわらかい材料を使うことにより、動きに追従したうえで雨水の侵入を防ぐこともできます。

シーリング材は紫外線により劣化し、次第にやわらかさが失われ硬くなります。
劣化したシーリング材にひび割れや破断・隙間が目立つのは、硬くなってしまい壁の動きについていけなくなった証拠です。
サイディングを守るためにもシーリングが劣化していたらメンテナンスを検討しましょう。

サイディングは塗り替え不要というウワサ

サイディング外壁は塗り替えが不要!という噂をたまに耳にします。
結論から申し上げますと、サイディングには塗り替えメンテナンスが必要不可欠です。
サイディングに塗り替えが不要というのはデマであり、誤った情報です。

サイディングの開発販売元の多くは塗り替えメンテナンスの必要性を掲載しています。

窯業系サイディングの再塗装方法は、モノカラー(単色塗装)品の場合にはエナメル塗料(有色塗料)で、多色塗装品の場合にはクリア塗料(透明塗料)で再塗装してください。

(ニチハ株式会社)(外部サイト

定期点検により、外壁材やシーリングに部分的な亀裂(クラック)、欠け、こすれ傷等が見られた場合は、パテ埋め補修や部分的な張替え、塗装など状況に応じた補修又は、次回点検時に補修するなど判断してください。

(ケイミュー株式会社)(外部サイト

建物のロングライフ実現に向けて適切なメンテナンスが必要です

(アイジー工業株式会社)(外部サイト

サイディングの風合いを生かす「クリアー塗料」での塗り替え

外壁材のサイディングとは?

窯業サイディングのようにあらかじめ模様があしらわれている外壁には、クリアー塗装がおすすめです。
クリアー塗装はサイディングの風合いを損なわずに外壁を保護できます。

一方で、既にお痛みのある外壁や、これを機にガラッとイメージを変えたい!という場合には塗りつぶしでの塗装をお勧めします。
色によるイメージチェンジを行えるのも外壁塗装の魅力のひとつですので、状況を見ながらお好みでお選びいただくのが良いでしょう。

さいごに

サイディングのメンテナンスに関する情報をご紹介しました。
サイディングは耐久性・デザイン性・施工性に優れた素晴らしい外壁材です。
その種類も多様で、材質によってメンテナンス方法・頻度も異なります。

サイディングに関する正しい知識を身に着けて適切なメンテナンスを行いましょう。