「外壁塗装はしたけど、なんだかすぐにひび割れてきた気がする…」
そんな経験はありませんか?
実はその原因、「コーキング(シーリング)」の劣化かもしれません。
近年の住宅の多くは、外壁材として「サイディングボード」などのパネルが使われており、これらの継ぎ目を埋めるために欠かせないのが「コーキング材(シーリング材)」です。
コーキングは建物の防水性・気密性を保つための重要な存在でありながら、実際には見落とされがちな部位でもあります。
国土交通省の報告によると、雨漏りの約30%以上がシーリングの劣化に起因しているという調査もあり、外壁塗装と同時に適切なコーキング工事を行うことは、建物の寿命を大きく左右すると言っても過言ではありません。
しかし、一般の方にとって「コーキング」と聞いても、以下のような疑問が浮かぶのではないでしょうか?

コーキングとシーリングって同じもの?

打ち替えや増し打ちってどう違うの?

塗装とコーキング、どっちを先にやるの?

工事期間や価格の目安ってどれくらい?
こうした疑問をそのままにしておくと、不要なトラブルや高額な追加工事の原因になる可能性もありますので、この記事では、そんな「コーキング」に関するあらゆる疑問を徹底的に解説します。
●劣化の症状と放置リスク
●工事方法の種類(打ち替え・増し打ち)
●外壁塗装との施工順序と注意点
●業者選びのポイントや費用目安
これから外壁塗装を検討している方にとって、知らなきゃ損する実践的な内容を網羅しています。
読み終わるころには、「自分の家のコーキング状態をどうすべきか」が明確になり、業者とのやりとりでも自信を持って判断できるようになるでしょう。
外壁塗装におけるコーキング(シーリング)とは?役割と重要性を解説
コーキング(シーリング)は、外壁塗装における下地処理の中でも非常に重要な工程です。
目地や隙間に充填して建物を雨風から守り、気密性や断熱性を高める役割があります。
このセクションでは、コーキングの基本的な定義や必要性を解説し、なぜ外壁塗装と同時に行うべきなのか、その理由について詳しく掘り下げていきましょう。
コーキングとシーリングの違いとは?意味と呼び方の違い
「コーキング」と「シーリング」という言葉は、建築やリフォームの現場で混同されることが多いですが、基本的には同じ種類の作業や材料を指します。
ただし、使われる場面や文脈によって呼び方が異なるので、注意が必要です。
●シーリング:設計図や仕様書、施工マニュアルなどの正式文書で使用されることが多い用語です。
いずれの言葉も、外壁材の継ぎ目や隙間に柔軟な樹脂を充填し、建物の防水性や気密性を高めるための作業や材料を意味します。
どちらの用語が使われていても、実際に行われる工事内容や目的に大きな違いはありません。
コーキング材の役割|防水・ひび割れ防止に欠かせない理由
コーキング材は、建物の外壁を守るために重要な役割を担っています。
特に、サイディングボードなどの継ぎ目や窓枠との接合部などに充填することで、隙間からの水の侵入や外気の流入を防ぐことができますし、建物の構造が地震や気温の変化によってわずかに動くことに対しても、柔軟に対応し、ひび割れや破断を防ぐクッションのような働きがあるので、使用は必須だと言えるでしょう。
さらに、目地部分を整えることで外観の美しさを保ち、建物のデザイン性にも貢献します。
具体的な役割は以下の通りです。
●可動性の吸収:地震や温度変化による伸縮・振動を吸収し、外壁のひび割れを抑える
●外観の美観保持:目地部分をきれいに仕上げ、外壁全体の見た目を整える
どこに使われている?外壁材・窓枠・目地の施工箇所一覧
コーキングは、建物のさまざまな隙間や接合部に使用されており、特に外壁の防水・気密性能を左右する重要な部位に施されています。
これらの場所では雨水の侵入リスクが高いため、適切な施工が不可欠です。
以下に、主な施工箇所を具体的に紹介します。
●窓枠まわり・サッシまわり:サッシと外壁の取り合い部に充填し、雨漏りや気密性低下を防止
●換気口や配管まわり:外壁を貫通する部材の周囲を密閉して外気や雨水の浸入を防ぐ
●バルコニー床と外壁の取り合い:雨水が溜まりやすい部分に施し、防水性を強化
コーキングの劣化症状と放置リスク|ひび割れ・剥がれ・雨漏りの原因に
コーキング材は、施工直後は弾力性と密着性に優れていますが、経年劣化によって徐々に硬化し、ひび割れや剥がれといった不具合が発生しますし、こうした劣化を放置すると、防水性が大きく損なわれ、雨水が建物内部に浸入してカビや腐食、構造材の劣化を招く恐れがあります。
このセクションでは、コーキング劣化の具体的なサインやその見極め方、さらに放置することで起こり得る深刻なリスクについてわかりやすく解説していきますので、参考にしてみてください。
ひび割れ・肉やせ・硬化などの見分け方
コーキング材は、紫外線や風雨、寒暖差などの外的要因によって徐々に劣化していきます。
一般的には5〜10年程度で性能が低下し、修繕や打ち直しが必要な状態になりますし、特に以下のような兆候が見られた場合、劣化が進行している証拠です。
●肉やせ(痩せ):時間の経過とともにコーキング材が縮み、中央がくぼんで隙間が見える現象。十分な厚みがなくなることで防水効果が失われます。
●硬化・弾力低下:指で押したときに柔軟性がなく、弾力が失われて硬くなっている状態。ひび割れや剥離が起きやすくなります。
●剥がれ:外壁材との間に隙間ができており、コーキング材が接着面から浮いたり、完全に剥がれたりしている状態。雨水の侵入リスクが非常に高まります。
これらの症状は、目視や触診で比較的簡単に確認できます。

少しでも異常が見られたら、早めに業者へ相談することが大切です!
劣化を放置するとどうなる?雨漏り・外壁材の損傷リスク
劣化したコーキングをそのままにしておくと、建物の外観や構造に深刻なダメージを与える可能性があります。
特に、外壁とコーキングの隙間から雨水や湿気が侵入することで、内部構造が見えない場所から劣化していくリスクがあるため、注意が必要です。
●外壁材の浮き・割れ:コーキングが役目を果たせなくなると、外壁材が振動や温度変化に耐えきれず浮きやひび割れを起こし、最終的には塗膜の剥がれや剥離が進行します。
●室内の断熱・気密性の低下:隙間風や湿気の侵入により、冷暖房の効率が悪化。電気代が高くなり、住環境の快適さも大きく損なわれます。
このように、コーキングの劣化は「見えないところから静かに進行する重大トラブル」の始まりとなるため、早めの対応が重要です。
コーキングの耐久年数と劣化のサインとは
コーキング材は一度施工すれば永久に持つわけではなく、使用される材質によって耐久年数に違いがあります。
それぞれの素材には特徴があり、施工箇所や外壁塗装の種類に応じて最適なものを選ぶことが重要です。
また、耐久年数が近づくと、ひび割れ・硬化・剥がれといった劣化サインが現れるため、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。
以下に、代表的なコーキング材の種類とその特徴、耐久年数の目安を一覧にまとめました。
材質 | 特徴 | 耐久年数目安 |
---|---|---|
変成シリコン系 | 塗装との相性が良く、最も汎用的に使用される。弾力性と密着性に優れる | 10〜15年 |
ウレタン系 | 柔軟性が高く動きに強いが、紫外線にやや弱い。塗装可 | 7〜10年 |
アクリル系 | 初期費用が安くDIYにも使われるが、耐久性は低め。塗装可 | 3〜5年 |
シリコン系 | 耐水性・耐候性に優れるが、塗装が密着しないため塗装部には不向き | 15年以上 |
コーキング工事の種類と選び方|打ち直し・打ち替え・増し打ちの違い
コーキング工事には「打ち替え」「増し打ち」といった複数の施工方法があり、それぞれ施工内容や目的が異なります。
建物の築年数や既存コーキングの劣化状況、使用する塗料の種類などを考慮して最適な方法を選ぶことが大切です。
このセクションでは、各工法の特徴や適したケース、選び方のポイントについて詳しく解説していきます。
打ち替えと増し打ちの違い|おすすめはどっち?
コーキング工事には「打ち替え」と「増し打ち」の2つの施工方法がありますが、これらは目的や仕上がり、耐久性に大きな違いがあります。
基本的に、築10年以上が経過している住宅や、既存のコーキングにひび割れ・剥がれがある場合は打ち替えが推奨されますし、逆に新築から年数が浅く、軽微な劣化が見られる程度であれば、一時的な対応として増し打ちが選ばれることもあります。
窓枠やサイディング目地の打ち直しポイント
コーキングを打ち直す際には、部位ごとの劣化状況や構造に応じて施工方法を判断することが大切です。
●窓枠や配管まわり:これらの部位は構造上、既存のシール材を完全に撤去しにくい場合があるため、状況によっては「増し打ち」で対応することも可能です。ただし、既存のコーキングが著しく劣化している場合は、無理に上から重ねるのではなく、可能な限り撤去・打ち替えを検討したほうが長期的には安心です。
クリア塗装・上から塗装との関係|塗料の密着性にも影響
コーキング工事と塗装工程の順序は、使用する塗料の種類によって慎重に判断する必要があります。
特に「クリア塗装」の場合は塗装が透明であるため、下地の状態やコーキングの仕上がりがそのまま見えてしまいますので、見た目の美しさを保つためには、塗装後にコーキングを打つ「後打ち」が基本となるでしょう。
一方、通常の不透明塗料を使用する場合には、コーキングを先に打ってから塗装する「先打ち」が一般的で、これにより塗膜とコーキングが一体となって密着し、仕上がりの耐久性や防水性が向上します。
また、使用する塗料の種類(ラジカル系・フッ素系など)とコーキング材との相性によっても、施工方法を適切に選ぶ必要があり、相性が悪いと塗膜の剥がれや膨れの原因となるため、事前に業者へ確認しましょう。
外壁塗装におけるコーキングの施工手順と工事期間の目安
外壁塗装の現場では、コーキング工事は塗装の品質や耐久性に大きく関わる工程のひとつです。
特に「いつ」「どのような流れで」施工するかは、塗料の定着や建物の防水性を左右するため、非常に重要なポイントとなります。
この章では、コーキング作業の一般的な施工手順を工程ごとに紹介し、あわせて工事全体にかかる日数の目安や注意すべき点もわかりやすく解説しますので、要チェックです!
施工の流れ|旧シール撤去から養生・打設・塗装まで
コーキング工事は、正しい手順で丁寧に行うことで防水性や耐久性を十分に発揮します。
以下は一般的な施工の流れです。
2.プライマー塗布:目地の接着面に密着性を高めるための下塗り材(プライマー)を塗布します。
3.新規コーキング材の充填:隙間に空気が入らないよう均一にシーリング材を打設します。
4.ヘラで均す:専用のヘラで押さえて整形し、密着性と見た目を整えます。
5.硬化時間の確保:コーキング材が完全に乾くまで数時間〜1日程度、十分な養生期間を設けます。
6.塗装工程へ:コーキングの硬化後、必要に応じて養生をはがし、塗装作業に移ります。
どのタイミングでやる?外壁塗装との順番関係
コーキングの施工タイミングは、仕上がりの見た目や塗料との密着性に大きく関わるため、事前にしっかりと把握しておく必要があります。
●クリア塗装を行う場合は「後打ち」が原則です。クリア塗料は透明なため、コーキングの色や仕上がりが外観にそのまま影響します。そのため、塗装後にコーキングを打設することで、見た目の美しさを確保しやすくなります。

このように、塗料の種類や目的によって施工順は異なるため、塗装業者と事前にしっかり相談して、最適な順番を選びましょう!
コーキング工事にかかる日数と工程ごとの注意点
コーキング工事にかかる期間は、建物の規模や施工範囲、天候条件によって異なりますが、一般的な戸建て住宅の場合、コーキング作業単体では1〜2日程度が目安です。
打ち替えの場合は撤去作業に時間がかかるため、増し打ちよりもやや長めになる傾向があります。
ただし、以下のような要素によって日程は前後する可能性があります。
●気温と乾燥時間:冬場や梅雨時期は硬化時間が長くなり、工程全体に影響する場合があります。
●外壁塗装との兼ね合い:塗装作業と同時進行で行う場合、工程の調整が必要です。たとえば先に足場を設置し、コーキングを先行で行ってから塗装へ進むなど、工事全体の流れを見据えた段取りが求められます。
スムーズに進めるためには、天気予報を考慮したスケジューリングと、業者との十分な打ち合わせが重要です。
コーキング工事を成功させるポイントと業者選びの注意点
コーキング工事の品質は、使用する材料の性能や職人の技術、さらには業者の対応姿勢によって大きく左右されますし、たとえ優れた塗料を使用しても、コーキングの処理が甘ければ外壁の防水性や耐久性は大きく低下してしまいます。
このセクションでは、コーキング工事を成功させるために押さえておきたいポイントを丁寧に解説し、具体的には、目的に合ったコーキング材の選定基準、施工実績が豊富で説明の丁寧な信頼できる業者の見極め方、さらに手抜き工事を見抜くチェック方法や費用の相場など、施主が後悔しないための実践的な情報をまとめているので、ぜひ確認してみてください!
コーキング材の種類と性能|変成シリコン・ウレタンなど
外壁塗装に使用されるコーキング材にはいくつかの種類があり、それぞれに異なる性能と適した使用用途があります。
コーキング材の選定は、単に見た目の問題ではなく、防水性や耐久性、塗装の仕上がりにも大きく影響しますので、以下に代表的なコーキング材とその特徴を詳しく見ていきましょう。
●ウレタン系:柔軟性が高く、建物の動きに追従しやすいのが特徴です。ただし紫外線に弱いため、塗装で保護する必要があります。塗装との相性も良く、打ち替え工事でよく使われます。
●シリコン系:防水性と耐候性に優れており、水まわりやガラス周りなどの非塗装部に使用されますが、上から塗装が密着しないため外壁塗装には不向きです。
●ポリサルファイド系:高い耐薬品性と密着力を持ち、主に工場やビルの特殊部位で採用されますが、住宅ではあまり一般的ではありません。
性能面で比較する際には、以下の点が重要です。
- 耐久性:どのくらい長持ちするか(変成シリコン系で約10〜15年が目安)
- 柔軟性:気温変化や建物の揺れにどれだけ対応できるか
- 密着性:塗料との相性や素材との接着力

それぞれの特性を理解し、施工箇所や目的に応じて最適なコーキング材を選ぶことで、外壁の美観と耐久性を長く維持することができます!
コーキング専門業者と塗装業者、どちらに依頼すべき?
コーキング工事は、専門性が求められる分野であり、業者選びが仕上がりや耐久性を左右する大きなポイントとなります。
依頼先としては「コーキング専門業者」と「外壁塗装業者」の2種類がありますが、それぞれにメリットと注意点があるので注意してください。
他にも、
- 自社施工の職人が在籍しているか
- 施工内容や材料について丁寧な説明があるか
- 過去の施工実績やビフォーアフター写真が提示されるか
これらの点を確認し、信頼できる業者に依頼することで、品質の高いコーキング工事を実現できます。
手抜き工事の見抜き方と適正価格の目安
コーキング工事での手抜きは、見た目では判断しづらく、施工後数年してから雨漏りや剥がれといった不具合が表れることもあります。
そのため、契約前の見積書や施工中の様子から手抜きを見抜く視点が重要です。
手抜き工事を見抜くポイント
●使用するコーキング材の商品名やメーカー名が記載されているか
●養生・清掃・プライマー塗布といった基本工程が省略されていないか
また、費用が安すぎる場合も注意が必要です。
適正価格より大幅に低い場合、工程の一部を省いている可能性があります。
以下は、一般的な適正価格の目安です。
工法 | 価格の目安 | 特徴 |
打ち替え | 約900〜1,200円/m | 既存のコーキングを撤去して新たに充填。防水性が高く長持ち。 |
増し打ち | 約500〜700円/m | 既存の上から充填。簡易施工で費用は抑えられるが耐久性は劣る。 |

価格だけでなく、工程内容と説明の丁寧さも信頼性の判断材料になります!
まとめ|コーキング(シーリング)で外壁の防水性と耐久性を守ろう
外壁塗装におけるコーキング(シーリング)工事は、単なる補助的な工程ではなく、建物の防水性と長期的な耐久性を支える重要な要素です。
特に目地やサッシ周りのコーキングが劣化すると、雨水の浸入やひび割れによる損傷を招くリスクが高まります。
本記事では、コーキングの基本的な役割や種類、劣化のサイン、打ち替え・増し打ちの違い、施工の順番や工程、さらには手抜き工事の見抜き方と適正価格の目安まで幅広く解説しました。
コーキング工事を成功させるには、塗装との相性を考慮した材料選びと、信頼できる業者への依頼が欠かせません。
また、外壁塗装とセットで考えることで、外観の仕上がりと防水性能の両立が可能となります。
塗り替えのタイミングでコーキングにも目を向け、正しい知識と判断で後悔のない外装リフォームを実現しましょう。
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